消えた年金問題 あなたの年金はもう消えている

討論会(札幌講演会)

『年金問題の“闇”を徹底追及』
消えた年金名簿と「グリンピア」による9兆円浪費にメス


司会  最近は年金受給の案内が届きますが、その前までは申請しなければ、年金が支払われない状況でした。まるで、言ってこないことは払わなくてもいいと思っているのではと、勘繰ってしまいたくなります。その「申請主義」について、まずは、いとうさんから口火を切っていただきたいと思います。

いとう秀子(以下、いとう)  申請主義ということで、たくさんの人が自分の名簿がどうなっているのかわからないまま、あるいは支給額を提示された時にどういう計算でそうなったのか、何年でそうなったのかさっぱりわからないで、社会保険庁の言われるままになっているのではないかと思いますね。こういうズサンな管理が発覚すると、申請主義自体に問題があると思います。この問題は今に始まったことではなく、10年くらい前からどう考えても自分の支給額は少なすぎる、あるいは、この期間は加入していたはずなのにと、不服申し立てをして、300件ほどが「社会保険審査会」というところで簡単な裁判を起こしています。それに勝った人は何年か前の領収書が見つかった人だけで、家計簿などに書いてあっても一切証拠として認められなくて、わずか3〜4件くらいしか勝っていません。納める時は税金のように給料から天引きで取っていながら、申請がないと時効にかかる。申請しても向こうのいう通りにしかならない。計算方法も示さない。本当に問題だと私は思っています。
 実は私の夫がこの1月に亡くなりましたが、約40年間、22歳〜63歳までずっと年金を納めてきたんです。晩年は月に7万円近く取られていましたが、死後、「あなたの夫はこれだけ納めています」とか、「死ななければ、もらえたはずの積み立て部分がいくらあります」という、連絡は一切ありませんし、遺族年金ももらえるはずが、申請しなければもらえない。何の連絡もありません。もし、私が病気など何かの理由で申請に行けなかったら、それっきりです。何というお役所だろうと実感しました。

司会  谷澤先生は、申請主義に対する不満をいろいろとお聞きになっているのではないかと思いますが。

谷澤 弁護士(以下、谷澤) これは、役人が責任を逃れるために、「国民年金法」という法律に入れた一項目なのです。国民年金の手続きは、国民が申請すると書いてあります。申請したら初めて手続きを始めるので、役人は何にもしなくても責任ありませんよ、国民が申請して来ないのは、国民が悪い。役人には責任はないというわけです。私に言わせたら、申請主義の解釈は少し違います。本当は国民の年金に関する権利であり、「私に権利があります、ありません」と言うのが申請主義だけれど、申請しないのだから官僚には責任がないということとは違う。私はそう思っています。まだ二枚舌と屁理屈を使っているのかと、怒っているんです。専門家の私でも年金を払ったかどうか、調べにいくだけで50分もかかるんです。このことは一般の国民は知りませんよ。知らずに、役人は払わなくても責任がないと言っている。
 先ほど5000万件の宙に浮いた年金があると言いました。これを調べてみると、100歳以上の人が162万人おるんです。日本には100歳以上の生きてる人は3万人です。あとの159万人は死んでしもうて、申請がないからほったらかしになっている。生きている間に金を払ってあげていればいいものを、その人が亡くなると遺族年金になるんですが、遺族年金にもならない。そのお金を社会保険庁の人間はポケットに入れているんです。これを“やらずのぼったくり”というのです。これほど申請主義とはいい加減なもんです。法律を変えてもらわなければいけないと、私は思います。

司会  亀井先生、議員というお立場でいろんな問題が持ち込まれていると思うのですが。

 

亀井静香(以下、亀井)  まずはお礼を申し上げたい。いとう秀子さんが呼びかけをさせてもらいましたところ、こんなに大勢お集まりいただきました。年金に対する思いの中でお集まりになられたこともあると思いますけれども、恐らく、いとう秀子に対する熱い思いの中でお集まりをいただいているのではないかなと、感謝を申し上げたいと思っております。
 いとう秀子さんと私は、かつて「自社さ政権」(自民・社会・さきがけ)をつくった仲でございます。あの時に、いとうさんに言った言葉を覚えております。「あなたは国を救うジャンヌ・ダルクだ」と。「だけど、ジャンヌ・ダルクはそのうち火あぶりの刑になるんだぞ」と失礼なことを言ったことがございます。私の悪い予言が当たってしまいまして、自由民主党は北海道知事選に、いとう秀子さんを党としてその後、推薦申し上げたのでございますが、当時の北海道連が、いとう秀子先生の選挙を一生懸命やりませんでした。そういう状況の中でとうとうジャンヌ・ダルクになってしまわれたという、私にとっては、せつない思い出のある先生であります。
 人間同じような環境に生まれるわけではありません。体が不自由に生まれる方、貧乏な家に生まれる人、いろんな恵まれない形で生まれ、つらい人生を生きている。そういう人たちに、生きていく力を与えていくのが政治だと。そういうことが、いとう先生の基本的な考えであります。また二度と戦争はしてはならない。銀河系の中では小いさな惑星にしかすぎない地球ですが、人類60億人の住処であるこの地球を、火だるまにしてはならない。させないことが国際貢献である。自衛隊を外国に出すことが、国際貢献ではない。そうした信念の方でございまして、我が国民新党の理念、政策と一致をいたしておりましたので、いとう先生にぜひ我が党から出てくださいとお願いしました。
 ご主人を失われて本当にショボンとしておられましたが、立候補をお願いしましたところ、決然と国のためにがんばるという決意をされました。こうしてみなさんのお力をいただきながら、がんばっておられる姿を見ますと、あのメソメソしていた秀子さんかなと、もう10も20も若返られた気がいたします。やっぱり、女は化け物だなぁという感を深くしたのでございます。
 正義感あふれる谷澤先生に、年金問題を正面から取り上げていただいています。年金問題で谷澤先生の右に出るものはいない。そういう方にわざわざおいでを頂き、今日は具体的な、我々自身が気が付いていないお話をいただきました。
 先ほど、谷澤先生のご指摘にもあったとおり、私も28年近い国会議員をやっており、そのうち25年は自由民主党の中でやっておったわけであります。年金の管理、運用がめちゃくちゃなことになっていて、私自身も責任のある立場であります。本当に申し訳なく思っております。政府は年金がどうなっているのか、管理した実態、また運用した実態を正直に正確に、まず国民に知らせるべきだと、思います。ごまかしの対策で、参議院選挙をどうにか逃れたいということで走っているのが、非常に残念であります。ここまでめちゃくちゃになった年金、特に台帳もない状況で、きちっと正確な資料を再編することは、私は不可能に近いと思います。ぐちゃぐちゃになってしまったものを前提に、今後の年金制度を運用するということは非現実的だと思います。また、これを元にした年金改革は、私はナンセンスだと思います。こうなった状態を踏まえ、年金改革、医療、介護が一体となった改革案を早急につくらなければならない。もうどんなにやっても、消えていった年金を復元することは不可能なわけでありますから、年金制度を抜本的に変えていくべきだと思います。
 いま年金、社会保障といった重要な事柄の原点を忘れてしまっているのが問題だと思います。年を取って身内がいない。そういう人たちがどうやって最低限、自分で幸せな老後が送れるのか。そのために国家はどういう支えをすべきか。これが年金制度の基本的なことであろうかと思うのですが、年金に頼る必要のない人たちも年金をもらっていますが、このことについても、この際、思い切ってメスを入れ、今のところ月に6万円の年金じゃやっていけませんから、最低15万円から20万円程度の年金を、老後になって困っている方にきちっと出していくことも考えていく必要があるのではないか。谷澤先生がおっしゃるように、「俺は払ってきた」という人には四の五の言わずに支給すればいいと私は思っております。この状態のまま、この制度を運用していくには、具体的には不可能であると思っております。

司会  先ほど伝え切れなかった問題点を、谷澤先生お願いします。

谷澤  今、亀井先生がおっしゃったことに僕は大賛成です。この問題をきちんと解決する方法はありません。払ったと言っている人を認める以外ないのです。そういうことをして、あとこれからの年金をどうするのか、建設的に考えていくしかないと、私も思っております。ただし、こういうことを言うと、政府も与党も「消費税値上げ」と言いますが、それは反対ですよ。消費税を値上げする前に、役人の無駄使いを直さんかいなというのが私の意見であります。
 役人を辞めたら再就職の世話をする法律をつくっていますが、あんなもので世の中は変わりません。一般の人がクビになったらハローワークに行って、怒られながら仕事探しているのに、なんで役人だけ特別扱いされないといけないのですか。今まで政府はこう言ってきたんです。役人とは貴重な存在であり、優秀な存在です。だから何ぼでも雇うところはあると言ってきたんです。それほど優秀な人材なら自分で仕事を探せ。役人というのは、国の税金をお土産に持って行くから仕事がもらえたんです。これを直す簡単な方法は、国が発注する契約を全部、法律通り競争入札にせよ。法律には随意契約、特別な知識がある難しい契約だけは、特別なこの人に任せることができると書いてある。今世の中は逆ですよ。競争入札は4割くらい、随意契約で役人が「あんたのとこあげます」というのは、だいたい6割〜7割くらい。例えば、緑資源開発機構で言ったら、天下り先に発注することによって、毎年20億、30億のお金を入れているんです。こんなこと止めたらいいやないか。法律通りやらんかいな、というのが私の意見であります。
 みなさん、やっぱりみなさんでそういう機会をつくりましょうよ。公務員というのは、自分らのためじゃないですよ、国民のために全力で働く。国民に奉仕する。これが公務員の基本ですよ。そういう社会をつくらなきゃ、僕は日本の先行きはないと思っています。

 

司会  いとうさん、お願いします。

いとう  私はやはり、この40年間行われてきたことがはっきりしている以上、国民にかけた損害をきちんと明確にしないと、また同じようなことが行われるのではないかと危惧しています。私も官僚不信があります。2つのことを申し上げたいと思います。
 社会保険庁は福祉という名目で、コンピューターなどほかの物を買っている。我々の掛け金を、年金以外に使う道を閉じるということを厳しくしないといけないと思います。私が国会に行ってびっくりしたことは、税金を自分の物のように扱っている霞ヶ関の体質です。社会保険庁はその体質で、私たちの掛け金の中から箱物を300も造ってきているのです。300ヶ所も造る建設資金がいくらなのか。ペアーレ、社会保険福祉センター、サンピアザなど、ほとんどが赤字だらけで、それをいつまでも延々と続けるようなことをやって貰っては困る。こうしたことをきちんと明確にしないで、消費税の話に転化する。今後のことを考えるのもいいのですが、これまでの問題をきちんと検証して、徹底した責任追及をしない限り、次の税金方式に変わったら、また同じことの繰り返しなるのではないか。
 それと、もう1つ。私は議員年金を廃止すべきだと思います。一般の方は高いお金を25年間かけ、やっともらえる年金は4万円〜5万円くらい。議員の場合は10万円を10年あまり払って、月に29万〜30万円近くもらっているんですね。政治家の中で「あと何年したら議員年金がつくから」という会話があるんです。政治というのは、そういうことでやるべきではない。議員年金を廃止して、“政治家は志が大事なんだ”というところから始まるべきなのではないか。私はそう思っております。

司会  この年金問題、私たちが騙されないようにするにはどうしたら良いのか。谷澤先生、お願いします。

谷澤  一番大事なところです。年金の運用に関して、利息のある運用に投資している国は日本だけ。アメリカでもし株に投資したら、その運用者は直ちに刑務所に放り込まれます。日本は年金の金を株に投資して、ものすごい損を出してきたんです。それを自民党の議員に言ったら、「最近だいぶ回復してきた」と言うんです。現在、年金資金は150兆円あるといわれていますが、私はないと思っています。まず、50兆円は消えてなくなっている。だから、政府は何と言われても、年金資金の明細を出さない。そのお金をジャブジャブ使って、無駄使いで建てたグリンピアを入れて使ったお金が、6兆4000万円です。先ほど、年金台帳をコンピューターに入れたと言いましたが、20年前に2000億円もかけて、古いコンピューターを買っています。毎年、コンピューターのメンテナンス費用を含めた運営に、1兆2000億円も使っています。これみなさんの税金ですよ。だから、この人たちに任せていてはもうあかんと。いとう先生がおっしゃるように、徹底検証はやるべきだと、私は思います。
 今後どうするのかという建設的な話ですが、今、この年金問題を機会に、社会保険庁のみならず、日本の官僚制度のあり方そのものを絶対的に変えるべき時が来たと私は思っています。そのために、私の残っている短い人生を費やしても悔いはないと、私は思っています。

いとう  今の年金制度は、議員年金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組と、議員や公務員が保護され、国民年金と厚生年金が流用されてきているのが実態です。こういうことを許さないことが、何より大事だと思います。
 また、行政は年金を徴収すること、支払うこと、運用すること、福祉目的に掛け金を使うことができます。この福祉目的が何よりも一番の問題です。名簿を管理するためのコンピューターは当然、我々の国費から買わなければいけない。ところが、加入者のサービス向上のためという名目で調べたところ、コンピューターその他の事務費に当てられる金額に、国費から出る3倍の額の福祉目的の費用、つまり我々の掛け金そのものが使われているのです。国費として支払われる物は、掛け金から使ってはいけないわけです。それを福祉目的という名目があれば、掛け金からいくらでも使える。それでコンピューターを買ってアルバイトに名簿入力をさせたり、スタッフ研修費だ、不倫旅費だと、社会保険庁のやりたい放題。事務経費、裏金などにも回っている。「福祉目的はもう結構」というくらい厳しく、私たちの掛け金の流用を許さない。これを中につくっていくことと、議員年金のからくり、公務員と議員だけ厚遇するという問題に徹底してメスを入れて行かないといけない。議員年金のことが、この間の国会で取り上げられましたが、いつの間にかそのことがスーッと消えてしまった。今でも国会議員は月に30何万ももらっていて、一生もらい続けるわけですから。本当に良くないと、私は思います。

亀井  みなさんご存じないかもしれませんが、国会議員だった人で、生活保護を受けている人は38人います。いいんですよ、当たり前なんです。国会議員も国民の一人ですから、生活ができなくなったら、生活保護を受けるというのは当たり前の話でね。国会議員だからといって、特別な年金を受けるというのは、いとう先生がおっしゃる通り、止めたらいいと私は思います。
 年金の管理・運用は、ご承知の通り、今までもやって来なかったわけじゃないんです。事実上、闇の中でやってきたということですから、この度のことの実態を明確にして、ひどいことをしたと国民の方がお怒りになっても、これはしょうがない。そこをやった上で、老後の生活をどう送るか、どう保障していくのだという話にならないと、この問題は解決しない。今度の法案で、社会保険庁を民間にしてしまえという意見が出ています。社会保険庁はやりたい放題のめちゃくちゃなことをやっているんですよ。そのまま、食い逃げじゃないけれど、お構いなしで、民間企業にしてしまうという話です。いいんですかね。今やるべきことは、そうしたことに責任のある社会保険庁に徹底的な実態調査、その他を含めてやって、その後、年金をどうするのか将来の見通しを立てた後、二度と間違いを起こさないようにするためには、社会保険庁をどうしたらいいのかということです。
 今、政府は小泉さん以来の手法で「蹴鞠」をやっているんです。国民は大脳皮質で考える力がなくなっていると言われている。世論調査の結果を見ていて、「へぇ、国民の方はこんな判断をするのか」と、唖然とするような結果がどんどん出てきているんです。今の国民の方は大脳皮質で考えていない。テレビのコメンテーターがいいと言ったらみんないいと言う。格好いい素敵に見えることを言えば、国民は「いいことをやっている」と支持してくれる。「改革」という言葉はその最たるものですね。そういうことで、官から民へ。役人に任せていてもろくなもんじゃない。社会保険庁を民間にするとよくやったと拍手をしてくれる。参議院選挙に勝てるだろうと政府は思っている。国民をバカにした蹴鞠戦術をとっているわけです。ご存知のように、社会保険庁の職員が夜を徹して、現状を把握する作業を今していますが、民間になれば無罪放免になるとウハウハしているんです。無罪放免は改革ではない。蹴鞠戦術がまかり通って、大事なことまでが誤魔化されてしまってはならんことだと思っています。

司会  先生たちは、いずれも実態を明らかにすべきだということをおしゃっています。とにかく洗いざらい出してほしい。そうしたことをわかりやすく、私たちに説明してほしいですね。

谷澤  亀井先生の話を聞いていて、本当に意見が似ているなぁと思いました。改革というのは、フタをしていてはできません。徹底的に膿を出す。どこが間違っているのか見極めた上で、次の策を見つけることが改革です。今、安倍自民党がやっていることは、これに逆行しています。膿を出さずに、社会保険庁を民間組織に変えてしまったら、これまでやってきた悪いことが有耶無耶になってしまう。私はこれを徹底的に出さなければいけない。出して、どこが悪かったからどうすると、こうやるのが改革ですよ。その辺を間違ってもらっては困るということを、今後も言い続けていきたいと思います。

亀井  先ほど、谷澤先生がおしゃっていましたが、「人材センター」なるものをつくって天下りをさせないようにする。みなさん、こんなインチキな話がありますか。天下りを禁止するため、各省庁ごとでの斡旋はしない。それだけ聞いたらいかにもいいようですが、役所がもう能力がない、もううちではいらなくなったという者をですよ、姥捨て山に入れて、民間が使いたいと思いますか。思いませんよ。じゃあ、使うためにはどうしますか。「お土産をつけてください」ということになるんです。結局、今と変わらないんですよ。それをあたかも改革のように言っているんです。そうではなくて、公務員の採用を思い切って減らして、定年まで一生懸命働いてもらうようにするのが、私は公務員改革だと思います。「人材センター」をつくって、そこに放り込んでおいて、天下りがなくなるだなんてあり得ないことで、これも蹴鞠だろうと、このように思います。

司会  まだまだお話していただきたいことがたくさんありますが、時間が押し迫って参りまして、大変残念です。ただ当たり前のことを当たり前に公務員の人はやってほしいというのが、会場に来られたみなさんの思いだと思います。これは社会保険庁1つのことだけではないのではないでしょうか。最後にいとうさん、よろしくお願いします。

いとう  年金は国民の預かり金であることをはっきりさせないと、今回のようなことがズルズルと起きるのではないかと、私は思うのです。前回も5%金額が引き下げられ、65歳からと支給年齢が引き上げられましたけれども、こういう法案が出されたときに、ただただ少子化のせいだ、高齢化社会のせいだと言っても通用しないぞ、と。この40年間、株の失敗で我々の年金がどれだけなくなったのか。300の箱物でどれだけの損害をしたのか。我々の掛け金にどれだけの損害があったのか。支払っている金額はこれだけで、プールされている金額はこれだけで、なぜ足りないのか。厚生官僚の言い訳に絶対だまされない。次の法案が出た時に徹底的に戦う覚悟でいかないと、また今回の参議院選挙はリコール選挙だという思いでやらないと、また同じことが繰り返される気がいたしております。

司会  決意表明として、年金以外のお話をお願いします。

亀井  この7月の選挙は、天が最後のチャンスを与えているのだと思います。自民党と公明党は9回表、このままでは試合に負けるというので、試合を延長戦にしました。しかし、逃げ切れるものではありません。全国のほとんどの自治体が、夕張市のような状況になってしまっているわけであります。東京だけが良ければいい、地方はどうでもいいという弱肉強食の政治をひっくり返さなければならない。この6年間で1%の超富裕層が生まれたんですよ。億万長者ができあがった。あとの人間はどんどん下に落とされていくのが当たり前。これが改革という名の下で行われた。こういう世の中をきっちり変える、最後のチャンスだろうと思っております。
 年金問題もさることながら、要は、日本人に生まれて良かったと思えるような国家にするには、国は何をすべきか。今のように、自己責任、自己責任といわれ、地方は地方の裁量でやりなさいといわれ、地方はカラカラになっている。自己責任といえば格好はいいわけですが、そういうことではいけませんし、自己責任といっても、もがいてもあがいても一生懸命やってもうまくいかなくて苦しんでいる人たちはたくさんいます。そういう方々に対して、みんなで助け合っていくことがどういうことなのか、真剣に考えていくことが、私は政治であろうと思います。国民新党はそういう気持ちで、政治をやっていきます。そのためにも、いとう秀子さんが、今度はジャンヌ・ダルクが火あぶりにならないように、みなさんのお力を賜りたいと思います。ありがとうございました。

いとう  「いとう」 今日は本当にたくさんおいでいただきまして、心から御礼申し上げます。谷澤先生、亀井先生ありがとうございました。
 私は今回、夫を亡くし本当に苦しい中を、参議院選挙への出馬を決意しました。私には、どうしても我慢ならないことが3つあったからでございます。
 私は、弱い人たちがいじめられる、無念の思いを持っている人たちを、黙って見ていられない性格なんです。弁護士としても、人が引き受けたくないことも、あえて引き受けて一生懸命にやってしまう。損な性格を持って生まれてきました。私がなぜそうなのか。それは私が満州で生まれて引き揚げ者として、本当に苦しい中を、いろんな方々に支えていただきながら、育てていただいたという深い感謝と、人は助け合わなくてはいけない、困っている人がいたら絶対に手を差し伸べて生きていかなくてはいけないという、私の中で育てられた信念があるからでございます。強い者だけがどんどん強くなればいい、企業はどんどん減税をし、銀行は中小企業に貸し渋りどころか貸しはらしまでする。また、銀行は史上空前の利益を上げながら、不良債権処理を楯にビタ一文も法人税を払っていない。それを良しとする。大きな企業の役員たちは、90%も役員報酬が上がったといわれる時代、中小企業は本当に苦しんでいる。若者は51%が大した職にもありつけず、いつクビになるかわからない。このいざなぎ景気の中、北海道の中小企業は倒産、破産が相次ぎ、戦後最大の負債総額で破産事件がどんどん札幌地方裁判所に持ち込まれています。しかも、個人補償までさせられている中小企業、零細企業の企業主は、命まで取られるような思いで、この破産や倒産、リストラを迎えなければいけない。私はこういう実態を見ると、腹の底から「とんでもないじゃないか」という思いが湧き出てくる。これは私の生い立ちのせいだと思うのですが、生い立ちを背負った者は、ジャンヌ・ダルクに生まれたとしても、やっぱり私はそれをしたいと思います。
 もう1つは、憲法9条の問題です。父は関東軍の憲兵でした。従軍慰安婦や七三一部隊など、中国で行われてきたことを、小さい時から聞かされて育ちました。だからこそ絶対に戦争は嫌だ。戦争があったらダメだ。平和主義がきちっと60年間守られたからこそ、人権があり、私たちの生活があるのです。これでいつでも戦争のできる国になったら、人権どころの問題ではない。生活の安定など二の次だ。こういう社会になってしまうのではないか。
 さらにもう1点は、先ほど亀井先生がおっしゃった地方の問題。どこに行っても北海道の地方はカラカラの状態。とても悲しくなります。私はこれまで、北海道の方々にいろいろと助けていただき、支援していただきました。夫が死んだ後、自分で楽をして生きていこうと思いましたが、人間としてもう一度、恩返しのつもりで力いっぱい努めたい。国会で行われている年金問題に象徴されているような不正とでたらめな行政、さらに貧乏人を水に落として当たり前、国際競争力さえ伸ばせば日本はいいんだというアメリカ型の社会、アメリカは今400倍もの貧富の差があるといわれておりますが、こうした社会に日本をしないためにも、法律家としてできる限りの努力を、人間としての誠意を、あるいは人間としての真摯な努力を重ねさせていただきたいと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

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